2011年9月5日月曜日

中古市場 :3兆円規模

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● ブートセール



NICHIGO PRESS  2011年9月5日

気の利いた国民は古物を売って小遣いに
誰でも一家に要らない物が$3,000超

 誰でも、「なんでこんな物を買ったんだろう?」と自分で不思議に思うほど不要なガラクタが生活空間を占めていると感じるものらしい。
 しかし、気の利いたオーストラリア国民は、セコハンの不要品を売り払って生活空間を節約すると共に年間平均$2,500の小遣いを得ているという数字が出た。

 これは、9月5日に発表されたオーストラリアのクラシファイド(三行広告)ウエブサイト「ガムトゥリー・オーストラリア」の調べで、今や過半数を超える国民が、インターネットを使って「セコハン経済」に関わっており、オーストラリア全国の総額で130億ドルの巨大経済になっている。
 「ガムトゥリー」の世論調査では、83%の人がセコハンを買うと答えており、売る方も1人年平均$2,431(約20万円)を稼いでいるとされた。
 しかし、この報告書では、「もっと大きなセコハン経済のチャンス」がすぐそこにあるとしている。
 調査の数字をまとめた結果、どんなオーストラリア人でも家の中に不要品がごろごろしており、その総額は$3,772(約30万円)にもなり、全国総額では430億ドル(約3兆5千億円)になる。

 投資アドバイザーのスコット・ペープ氏は、
 「生計費が上昇しており、オーストラリア国民は、持ち金の使途について慎重に考えるようになっている。
 最近の報告では、国民が金を使わなくなったとしているが、この報告ではその神話が覆され、国民は今も金を使っているが、賢い使い方になっただけ」
としている。
 この調査は、18歳から64歳までの1,008人を対象に実施され、セコハン経済にもっとも熱心なのが団塊の世代で、年間$2,998(約25万円)を稼いでいる。
 また、稼ぎ頭はY世代で、$3,024を稼ぎ、もっとも苦手なのはX世代で稼ぎ高はわずか$1,534だとしている。
 また、品目別では書籍がもっとも盛んで、ついで衣料、履き物、アクセサリーの順。(AAP)

 今、世界中でネット販売が流行っている。
 これにクレームをつける人もいる。
 ネット販売では少量ならタックス(税)がかかっていないので、それが小売業者を圧迫しているという論理である。
 ここで売られているものにロクなものはない。
 何しろ製造業がほぼ存在していないという産業構造。
 日常品はほぼ輸入。
 よってどこへいっても同じものが店頭に並んでいる。
 輸入元が同じなら結果はそうなってしまう。
 店の違いとは僅かな値段の違いでしかないというわけである。
 となれば、どうしてもいいものは直接海外から買いたいと思うのが心理。
 そこで個人のインターネット商法がはやり、それが小売業の売上を落としているというわけである。

 ここではお金が動けばなんでも「GST:グッズ・サービス税」がかかる。
 生鮮食料品のみ無税。
 税率は10%。
 でも、税金がかからない商法がある。
 それがガレージセール、あるいはブートセールである。
 ガレージセールというのは個人で行うもの。
 これをまとめてグループや地域でやるのをブートセール。

 なでこれには税金がかからないか。
 なぜなら、新品を買ったときにすでにタックスを払っているから。
 中古品市場3兆円。
 流行るわけである。
 ちなみに、カントリーマーケットというのは税金がかかることがある。
 新品を売っている場合があるから。

 昔の日本には中古品市場などなかった。
 中古本などはなにかかび臭くて手がでなかったものだ。
 しかし、バブルがはじけた以降、この市場が急激に力をつけてきた。
 ブックオッフなどではそれで商売をしている。
 高度成長期は新品市場。
 高度成熟期は中古市場。
 そうなるのが当たり前のこと。

 「経済成長、経済成長」などと掛け声をかけている連中はわかっていてやっている。
 もはや、日本は経済成長をメインに据える産業構造はもっていない。
 なにしろ、輸出入の経済に占める比率は15%前後だという。
 これでは、経済成長を声え高に叫ぶほうがおかしい。
 というより、円高を利用して、海外企業の買収のほうが産業的には成り立つはずである。
 でも、建前上で経済発展を口にしないといけないような雰囲気が周りにある。
 そのうち、それも薄らいでいくとは思うが。


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