2011年12月1日木曜日

黒字財政を目指して、大学予算の削減

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●  HECSの通知書




NICHIGO ONLINE 2011年11月30日
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/31399/

連邦政府、黒字財政目指して大学予算削減
公務員人員削減と合わせて「激戦」も

 連邦政府は、2012年度に財政の黒字回復を公約しており、歳入減がほぼ確実となった今、様々な予算削減策を打ち出しているが、高等教育部門の教職員解雇と予算削減が、公務員人員整理との2本の柱で提案されている。

 しかし、ジョン・ハワード前保守連合政権下で高等教育予算が抑えられ、各大学は海外からの自費留学生に大きく依存するようになったが、2007年に労働党政権になる前後から豪ドル高や移民資格条件の引き締めで海外からの留学生が減り始め、各大学は他の英語圏の高等教育機関と留学生の奪い合いで厳しい戦いを迫られているところにさらに国内から予算締め付けを受け、「クレバー・カントリー」のスローガンで教育充実を掲げた約束も反故になりかねない。

 一方、無所属2議員はすでに「高等教育予算削減を支持できず」と明らかにしている。
 11月29日に発表された中期予算調整で予算削減項目として挙げられた中に、高等教育部門の6億4,000万ドルがある。科学・数学コースのHECS学費補助も打ち切られ、学費は倍になる。
その他、大学の融資資金プールも2億4,000万ドル削減されることになる。
 緑の党はすでにこの政府の「予算削減」を近視眼的と批判しており、リー・リアナン高等教育スポークスウーマンは、
「高等教育予算削減は、長期的にオーストラリアの生産性を損なうことにしかならない。
労働党は、教育革命を掲げていたが、今、高等教育にこのような大打撃を加える気になるというのはまったく不愉快だ。
教育、特に数学と科学に投資するというのは、国家としては国民の生産性を高めるために不可欠ではないか」
と語っている。

 しかし、スワン財相は、
「数学と科学のコースを補助しても、予想したようなコース進学者を増やすことはできなかった。
最初からやり直し、新しい方針で動かなければならない。
教育に力を入れることに変わりはない」
と反論している。
しかし、緑の党は、教育予算を10%増額することを要求している。
 HECSの数学と科学のコースの学費補助打ち切りを議会で成立させるためには、緑の支持は見込めないため、野党保守連合の支持がない限り、無所属議員の支持が必要になる。
 しかし、ロブ・オークショット議員は緑の党同様、教育予算削減を口を極めて罵っている。
 ただ、保守連合の財務スポークスマン、ジョー・ホッキー議員が、
 「5月予算から削減することを支持してもいい。
 前回、政府が支出削減を提案した時には、それがどんなに痛みを伴うとしても議会で反対しなかった。
 今回も同じ原則を貫くつもりだ」
と語っている。(AAP)


 「HECS」という制度、いっときなくなったのではなかっただろうか。
 息子の次の代にはなかったように思うのだが。
 なくなったというのは記憶ちがいで、縮小されたということもあるので、確定的ではない。
 でも、この時期に大きなHECSの見直しが行われたことだけは確かである。
 これは記憶にあるから、まちがいない。

 なにしろHECSを利用すると、全額国家もちの学費になる。
 申請すれば、誰でも資格があった。
 もちろん卒業後に返還することになるから、まったくタダではない。
 でも、お金がなくても大学は卒業できる、といういい制度であった。
 名目上はだれでもタダで大学を卒業できたのである。

 卒業後、会社に務めて収入を得ると毎年「タックス」の申告をしないといけない。
 日本では会社がまとめてやってくれるが、ここではそういう制度はない。
 タックスは個人申告になっている。
 申告すると時に還付がある。
 タックスリターンである。
 いわゆる日本でいう年末調整で「お金が戻ってきた」というヤツである。
 このとき、収入の額に応じてHECSの返還が行われるのである。
 よって、HECSを使って大学を卒業した場合は、しばらく高額のタックスリターンはないことになる。

 卒業したら海外へ逃亡すればHECSは返さないでいい、というウワサがあった。
 もちろん、逃亡先で所得税を納めればHECSは追求されない。
 が、帰国すればHECSはちゃんと追いかけてくる。
 そんなに甘くはない。
 
 上のシートは息子のときのHECSの通知書である。
 受講講座の数によって学費が定まるので、1年一律**万円ということではない。
 上の場合は付帯費用を含めて「5,753ドル」というのが、1年の学費に相当する。
 為替レートは時々で変わるから日本円でいくらとは言えないが、上限で1ドル100円と抑えてそれ以上にでることはまずない。
 とすると、1年の学費は「57万円」ということになる。
 これ10年ほど前のものなので、今の学費ではありません。


 調べてみたら、HECSについてのブログがありましたので載せておきます。


オーストラリア会計士の独り言 2009年1月 7日 (水)
http://nakano-accountants.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/hecs-1fa0.html

HECS オーストラリアの大学授業料

 オーストラリアでは大学の授業料に対し、日本の奨学金制度の10倍素晴らしいシステムが整っています。
 HELP (Higher Education Loan Program) と呼ばれておりオーストラリア政府管轄です。
 HELP には3種類あります。

①.. HECS-HELP (Commonwealth Supported Students) 一般的にオーストラリア人学生が対象ですが、条件を満たせば永住権保持者も利用可能。
 前金なしで授業料の大分部を政府が肩代わりし、卒業後に各人の収入に応じて返済する制度。
 利息無し、CPI index (物価上昇率) 分のみ毎年加算される。

②.. FEE-HELP オーストラリア人学生及び永住権を持つ学生に対し一定の限度額 (2008年度限度額 $81,600) まで貸し出す制度 (ローンフィー 20% - $10,000 を借りた場合の返済額は $12,000)

③..OS-HELP (Commonwealth Supported Students) 一般的にオーストラリア人学生を対象に海外留学のための費用を借し出す制度

 対象となる永住権保持者などの条件をリストしようと思いましたが、あまりにも複雑で長くなりそうなのでやめておきます。
 詳しく知りたい方は下記のウェブサイトでお調べください。
 政府の学生向けのサイトです。
 かなり詳しく説明が出ています。
www.goingtouni.gov.au

 少し昔の話ですが私も HECS を利用することができたため、無一文から大学に行くことができました。
 (その昔は大学も無料だったオーストラリアですから、お金を払うということ自体に批判をするオージーも多いですが、、、私の場合はこの制度なしでは今の自分がありませんので大変感謝しています。)
 返済期間も決まっているわけではなく、タックスリターンで確定される年収により支払い額が決まります。 
 ちなみに今年度の最低年収は $41,595 この額を超えるまで返済の義務はありません。
 この最低年収を超えた場合は収入の 4% を支払う必要があります。
 収入の増加と比例しこの割合が上がります。
 逆にいうと収入の低い方は返済義務がないのです(ただタックスファイルナンバーと連結してますので一生逃げることはできませんが、、、)。
 また収入に関わらず、ご自身の判断で返済していくことも可能です。
 $500 以上の返済をすると 10% のボーナスがつきます。
 つまり$1000 自己判断により返済した場合 $1100 返済したことになります(返済を促すためのインセンティブです。)。
 私は大学卒業後パートタイムで働いていましたし、フルタイムになった年度中に退職したり、とこの最低年収を超えたことはありませんが、この素晴らしい制度を続けてもらいたいという気持ちが強く、毎年チビチビではありますが、地道に返済を続けています。


 上記の内容は、息子以降のシステムだと思います。
 なぜなら、少し複雑すぎます。
 息子の時はこんないややこしくはなかったように思います。
 HECSを申請するか、しないか、だけであったように思います。

 なを、息子はすでに全額返済を終えているとのことです。

 余談ですが、オーストラリアの4大産業というのがあります。
 勿論、ナンバーワンは資源産業。
 ナンバー2は農業。
 以前、干ばつが発生したとき、日本のウドンが値上がりをした。
 日本の小麦粉の多くはオーストラリアからの輸入です。
 有名なのは「オージー・ビーフ」。
 三番目は観光産業。
 さて四番目はというと?
 教育産業なのです。
 日本もアメリカも中国からの留学生を呼び込んでいますが、オーストラリアはそれが産業のナンバー4にまでなっています。
 大学の経費削減ということは、減った部分をこの留学生からの授業料で充当することになる。
 通常、留学生の授業料は国内学生の倍になる。
 が、もしかしたら3倍くらいになるかもしれない。
 とするると、留学生は来てくれるであろうか。
 最近、世界の学費の発表があったが(コピーを忘れてしまったのでソースが見つからないのだが)アメリカの学費は実に高い。
 とすると、まだまだオーストラリアはやっていけそうかもしれない。



レコードチャイナ 配信日時:2010年1月4日 21時54分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=38556&type=

中国人留学生、滞在国GDPに巨大な貢献!
最大の受益国はオーストラリア



 2010年1月、金融危機に端を発した世界経済の冷え込みのなかで、中国の留学ブームはとどまるところを知らない。
 世界各国の中国人留学生たちがそれぞれの国で、巨大な経済価値を創造している。
 3日、法制晩報が伝えた。

 同記事によると、08年、中国人留学生による「経済効果」を最も受けたのは、中国人留学生数が最多のオーストラリアで、留学生たちがもたらしたGDPは「150億豪ドル(約1兆2500億円)」を超えるという。

 以下は国別中国人留学生数と留学費用の平均額の比較データ。

イ ギ リ  ス: 7.5万人 学費103~177万円/年、生活費95万円/年
オーストラリア: 13万人 学費136~204万円/年、生活費68~109万円/年
日      本: 7.4万人 学費82~109万円/年、生活費68万円/年
韓      国: 4.5万人 学費41~54万円/年、生活費41~54万円/年
カ   ナ   ダ :4.1万人 学費95~109万円/年、生活費82~95万円/年
ニュージーランド :2.5万人 学費82~109万円/年、生活費41~54万円/年
シンガポール  : 1.5万人 学費68万円/年、生活費41~54万円/年
(数値は各国政府やメディアが発表したもの)

 オーストラリアにおける中国人留学生の「経済貢献率」が高い原因は、同留学生が最多であることに加え、同国のGDP規模が他の経済大国と比べ小さいことにあるという。
 米国、英国、日本などでは留学費用が高いにもかかわらず、GDPにおける中国人留学生の貢献率はいずれも0.1%未満にとどまっている。

 経済効果を見込んでより多くの中国人留学生を受け入れるために、先進各国は奨学金、留学生への就業支援やビザ申請を含む手続きの簡素化など、さまざまな手を打ち始めた。




NICHIGO ONLINE 2011年12月8日
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/31992/

大学連合機関報告書、現行予算配分批判
コースのコスト度外視、根本的改革必要

 大学の資金の動きを調査分析していた国内大学連合機関「Universities Australia」は、「現行の制度は、研究教育コストをまったく反映しておらず、正常化には根本的な改革が必要」と述べている。

 専門家のパネルは、全学生がそれぞれのコースの経費の40%を負担し、残りを政府が出資すべきだとしている。
 現行制度では、学科により学生の負担は19%から84%とまちまちで、学費も年間$4355から$9080までと幅広く異なっている。
 報告書を発表したパネルのジェーン・ロマックス-スミス委員長は、
 「全学生が自分のコースの経費の40%を負担するようにすれば公平だ。
 現行制度では、特定のコースが他のコースの補助をするようなことになっている。
 しかし、そのような資金配分で学生がコースを選ぶようなことがあれば、大学教育の成果は挙がらない」
と語っている。
 一方、「Universities Australia」議長のグリン・デービス教授は、
 「パネルが、一部の学科は資金不足で、複雑な相互補助制度を通してようやく維持できていると指摘したことは長年大学が懸念していたことをはっきりとさせてくれた」
と歓迎している。

 メルボルン大学副学長を務めるデービス教授は、
 「この調査で、20年前に予算配分モデルが編成されて以来、国内大学のコストだけでなく、大学の性格そのものも大きく変わったことを正しく指摘している」
と評価している。
 Council of Australian Postgraduate Associationsのジョン・ノワコウスキー会長は、
 「研究を適切にサポートするためには今のままでは資金が不足だ。
 法学部学生なら最高$9,080の学費を払い、連邦政府からは$1,793しか出ない
 一方、理科系学生なら年間$4,355ドルの学費で、連邦政府からは$18,769も出ている。
 また、学費全額自己負担のコースはすでに大学の資金を補填するために散々利用されている。
 学費は、政府からの予算配分を超えるべきではない」
と語っている。(AAP)


 日本なら普通、工学系は文化系の1.5倍から2倍くらいの授業料である。
 実験とか設備とかにそれだけお金がかかるのだろう。
 これは仕方がないことだと思う。
 が、こちらの大学、文化系も工学系もほぼ同じ授業料。
 文化と理科が同じ学費、一体これどうなっているのだろうと大学案内の本を見て疑問をもったことがある。
 どうもここは教育と研究を別に考えているようである。
 教育は平等でないといけないという趣旨からどの学科もほぼ同じになっている。
 医学系を除けば、学科の違いによる授業料の差はない。
 しかしかかる費用は工学系のほうが文化系のほうが大きい。
 どうもそれを研究という形で補助しているようである。




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